お金を借りる方法はたくさんあります。その中でも、事業に使うお金を調達する時は、様々な手段を考えるでしょう。
近年ではプロパーによる融資が増えています。じわじわと人気を博しているこのプロパー融資、一体どういったものなのでしょうか。
一般的な融資と違う点は何なのでしょう? 一般的な融資とプロパー融資を比較し、いざ融資を受ける時、最善の選択ができるようにしておきましょう。
今の時代ならでは!知っておきたいプロパーのこと
融資の形態はさまざまですが、プロパー融資は一般的な融資と少々違う傾向が見られます。これを理解しないまま申し込みをするのは、良い選択ではないと言わざるを得ません。
プロパー融資とは、信用保証協会の保証を受けない融資です。性質としては、個人向けの融資ではなく、企業の事業資金を目的とした融資ということでしょう。
信用保証協会の保証を受けないということは、保証人なしで借金をすることに他なりません。個人向けの融資でも保証会社があるくらいなのに、もっと多額が見込まれる事業資金で保証がないという、少しびっくりしてしまう内容ですね。
具体的にはどう違う? 一般的な融資との違い
一般的な融資との違いは、やはり保証の有無が挙げられるでしょう。貸す側(銀行)としても随分と思い切った融資をするものだ、と思うこともあります。
その他にも違いがあり、違いをチェックしながら、どちらが今のご自分に必要な融資なのかを考えてみるのも良いでしょう。
(⇒キャッシングに関するおすすめQ&A)
項目 | 一般融資 | プロパー融資 |
---|---|---|
保証協会の有無 | 有り | 無し |
主な融資元 | 銀行、消費者金融 | 主に銀行 |
担保 | 不要 | 時に要 |
代表的な違いだけをピックアップしましたが、それでもかなり性質が違うことがお分かり頂けるでしょうか。表にすると味気なく見えるものの、その実としては、かなり重要なポイントがあります。
保証協会の有無は先にも説明しましたが、これはいざと言う時の保証をしてくれる存在がないということになります。中小企業に必須である、信用保証制度が使えないわけです。何がなんでも債務不履行などに陥るわけにはいきませんね。
主な融資元も、一般的な融資であれば銀行だけではなく、消費者金融も利用することができます。個人向けの融資がほとんどの消費者金融ですが、事業資金の調達ができる商品も提供しています。プロパー融資では銀行一択とっなています。
もっとも、プロパー融資を受けるということは、かなり業績に期待が持てる会社だという証明でもありますので、担保を手放す可能性は低いと見積もることも可能でしょう。
お勧めはどっち? 信用の積み重ねが大事!
一般的な融資とプロパー融資、どちらが良いと言われれば、やはりどちらも利点があることは否め得ませんので、はっきりと「こっち!」と断言することは難しくなります。
銀行としては、初めての相談でプロパー融資を勧めることはまずありません。その性質上、やはり経営の状況に問題がなく、返済に心配がないことを求めるからです。
(⇒自営業者の借入は信用が命?)
しかし、信用が積み重ねられていれば話は別。より深いお付き合いができると踏んだのであれば、プロパー融資を勧めてくることもあるでしょう。健全に融資を受け、健全に返済しているのであれば、いつの間にか信用が積み重なっているものです。
要チェック!プロパーのメリット・デメリット
プロパー融資を考える人は、やはりそのメリットを最大限に利用できる点も、ぜひ見逃さないようにしたいものです。
- 金利がかなり低い
- 融資金額がより高額になる
- 優良企業であるという、銀行のお墨付きがもらえる
プロパー融資は基本的に、信用度が高くなければ利用することができません。信用度とは、いわば「返済能力が高い」ことに尽きます。必ず返してくれると分かっていれば、銀行にとって上客です。金利が低くなるのも当然と言えるでしょう。
融資金額が高額になるということに関しても、やはりそういった信用度がものを言います。保証協会の保証がないとしても、信用があれば、金額に融通も利くものです。
そしてプロパー融資の最大の利点は、銀行側が「保証なしでも融資しても良い企業」ということを示してくれることです。これはこの先、どんな金融機関と交渉することになっても、かなり有利に働くことでしょう。それほど銀行の信頼というものは大きいのです。
要チェック!メリットがあればデメリットも
紹介した通り、プロパー融資にはかなりのメリットがあります。しかし、メリットがあればデメリットもあるというもの。デメリットによる損害を回避するため、しっかり抑えておきましょう。
- 開業から時間が経っていないと利用できない
- 審査にかかる時間がとても長い
開業から時間が経たないと利用できないということは、これは仕方ないとも言えるでしょう。プロパー融資の基本は信用です。開業から間もなくでは、その信用もまだまだ足りないと言えます。
審査に時間がかかるということも、デメリットと言えるでしょう。事業資金はそれほど悠長に待っていられない時も多々あります。迅速な融資を望む人には、デメリット以外のなにものでもありません。
しかし、保証のない融資です。普通の融資よりも、より細かい審査が求められるのは仕方のないことでしょう。ここは割り切って利用するしかありませんね。
メリット一杯のプロパー融資、利用は成長してからが吉
こう見てみると、メリットが大きいプロパー融資ですが、その性質上、普通の事業資金よりも、融資を獲得するまでにそれなりの困難があると言わざるを得ません。
もしも信用が足りないうちに申し込みをし、審査に落ちては元も子もありません。審査に落ちたという結果は不名誉ですし、何より、その情報が長く残ることとなり、次回以降の審査に影響がないとは言い切れませんよね。
プロパー融資を利用するには、やはり多少なりとも会社が成長してからの方が良いでしょう。最初は保証付きの一般的な融資を受け、信用が積み重なれば、銀行側がプロパー融資を提示してくることもあるようですよ。
審査は厳しめ?プロパー融資の宿命
プロパー融資の審査が厳しいということは、利用者の間ではよく知られていることです。普通、銀行は審査が厳しいものですが、プロパー融資はまた群を抜いて厳しいようですね。
厳しい審査基準をクリアすることができず、融資を受けることができない事業主も少なくありません。大抵は審査基準を満たせる自信を持って申し込む企業がほとんどですが、思わぬところに厳しい目が向けられるようです。
どうして厳しい? 銀行の厳しさは譲れない一線!
プロパー融資の審査は、どうしてそこまで厳しいのでしょうか。それはやはり、繰り返して言っていますが、「保証がない」ということに尽きるでしょう。
プロパー融資は、銀行が保証なしで、全ての責任を事業主と一対一で背負った上でお金を貸す融資です。つまり、もし事業主が融資金を返済できなくなった場合、融資金の100%が銀行側の損失となってしまうわけです。
銀行のお金の出どころは、利用者の預金です。プロパー融資で返済不能に陥った金額も、結局は顧客のお金を失くしてしまったということになります。銀行としては決して歓迎できない状況と言えるでしょう。だからこそ審査を厳しくしていると言えます。
あなたは大丈夫? プロパー融資の審査の内容
プロパー融資の審査では、主に以下のようなことがチェックされると言われています。
- 当期利益
- 自己資本
- 不良債権の有無
- 役員報酬の額
銀行によって審査基準が違いますので、これよりも細かい項目もあっておかしくはありませんが、おおむね、これらの項目は必ずチェックされると言って良いでしょう。
当期利益、不良債権の有無は、最終的には自己資本に繋がります。自己資本が多ければ多いほど、審査で有利に働くと考えられます。しかしこれらのチェックは徹底的で、かなりの時間を要します。
審査に落ちても諦めない!信用保証協会の融資も視野に
プロパー融資の審査は厳しく、どうしても通過できない企業もあるはずです。これは仕方のないことですから、新たに信用を積み重ねるまではじっと努力を続けるしかありません。
保証付き融資はプロパー融資よりも自由度が低いと言えば低いのですが、その分、保証協会の保証を受けられるという、かなりの安心感を持つことができます。
そもそも信用保証協会とは? 中小企業に必須の協会!
信用保証協会とは、その名前の通り、信用を保証する存在です。個人で言えば保証人です。協会が企業の保証人になるということですね。
事業資金を調達する時、プロパー融資のような形態の融資以外では、保証する存在が必要となります。中小企業ではそれを用意することが難しいため、信用保証協会が発足することになりました。
中小なら使おう!信用保証制度!
信用保証制度とは、信用保証協会が公的に保証人となり、中小企業が融資を受ける制度です。メリットも大きく、多くの企業が利用しています。
- プロパー融資よりも審査に通りやすい
- 万一倒産しても代理返済してもらえる
いくら業績が良くても、未来に何が起こるか分かりません。そんな時、代理返済してくれる保証協会の存在はとても心強いものになるでしょう。
また、保証協会の予算は国から出されています。国家のバックアップを受けている存在ですので、その信用度は高く、利用する時も安心ですよね。
便利な保証協会、デメリットも多少は覚悟!
心強く、便利な保証協会ですが、プロパー融資と同じく、メリットもあればデメリットもあります。メリットとデメリット、どちらを優先するかは利用者次第でしょう。
- 信用保証料を払わなければいけない
- 代理返済=債務帳消しではない
信用保証料とは、いわば協会の利用料だと考えておけば間違いないでしょう。もっと簡単に言えば会費のようなものだと言えます。
金額は融資額によって異なりますが、大抵は2.0%以内に収まると予想できます。しかし、融資額が大きければ大きいほど、保証料も大きくなるということですので、地味に厳しいデメリットと言うことができます。
代理返済された金額は、信用保証協会に返済していくことになります。ただ、銀行への返済よりも、一回の返済額や返済期間の相談に応じてくれる特徴がありますので、デメリットと言うよりは、もしかするとメリットかもしれませんね。
プロパー融資と信用保証制度、実は表裏一体だった
プロパー融資と信用保証制度による融資は、こう見ると真逆のように見えるかもしれません。しかし、実は「信用保証制度があるからこそ、プロパー融資が活用できる」とも言えるのです。
どちらにもメリット、デメリットはあります。今、企業に必要としているのはどんな融資なのか? じっくり考えた上で選択していきたいものですね。
【参考ページはこちら】
プロパー借入の2つのメリットをご紹介