一口に「借入」と言ってもその範囲は広く、カードローン・フリーローンなどの「現金を借りる」ものから、自動車ローン・住宅ローンなどの「大金が必要な買い物の資金を借りる」ものまで、実に多くの種類があります。
そして、巷ではどのローンでも「公務員は借りやすい」と言われています。では、公務員はなぜ借入で優遇されると思われるのでしょう?また、その評判は、どこまでが本当の話なのでしょうか?
借入で最も重要な「安定継続した収入」が容易に判断できる
ローンの審査では、お勤め先や雇用形態をスコア(点数)に換算し、その他の申し込み内容(居住歴、持家か借家か、独身か既婚かなど)を合わせた「スコアリング」と呼ばれる評価によってふるいにかける方式が一般的になっています。
その中で大きなウエイトを占めているのが、「安定して継続的な収入がある(見込める)」こと。スコアリングでも「公務員や医師、大企業の正社員は属性が高く、パートやアルバイトなど非正規雇用は属性が低い」と点数がつけられます。
最近はパート・アルバイトOKのカードローンやフリーローンが増えました。しかし、高い限度額や、自動車ローン・住宅ローンなど大口融資で審査をクリアするのは至難の業です。属性の持つ意味(影響力)が大きいことは、この点だけでも理解できますね。
国家公務員行政職の離職率はわずか1%台
この数字は、ローン審査の際に「安定ある職業」と評価されるに充分であるといえるでしょう。因みに50代の数字が記載されていないのは、定年まで勤め上げるか、第二の人生に進むかの選択が影響しているか…とだけ記しておきましょう。
倒産・失業のリスクがほとんどないのも高得点
離職率だけでなく、公務員は「倒産による失業」がほとんどない業界です。これはローン審査で大企業ほど属性(スコア)が上がるのも同じことを示しています。
民営化されても失職する可能性は低い
国鉄→JR、電電公社→NTT、郵政省→日本郵便など、「民営化」される公的機関もありましたが、それもごく稀な話であり、さらに民営化されるからと言って強制的に退職となる可能性も高くはありません。
国鉄が民営化されるときには一悶着があったとされていますが、近々に行なわれた「社会保険庁の解体や郵政民営化」で大量の失業者が出たという騒ぎにはなりませんでした。中には自主的に退職された方もいらっしゃいますが、全体的には多くありません。
抜群の安定感!不況に強い公務員!
大企業や金融機関でも景気によっては倒産やリストラの不安がつきまとうものですが、公務員はよほどのことがない限りリストラによる失職などは考えなくても良い安定した業界です。
公務員でも年齢制限は優遇されることはない
審査において属性が高く、優位なポジションにある公務員でも、それぞれのローンが定めている年齢制限の枠をはみ出すことはできません。年齢制限で有名なのは「20歳未満は不可」という点でしょう。たとえ公務員でも20歳未満ならば申込条件の範囲外になります。
(⇒カードローンと年齢の関係は?)
また、「上限年齢」も注意しましょう。こちらはローン1つ1つで設定が変わっているため、一概に「何歳が上限です」とは言えません。70歳まで申込めるものもあれば、55歳で申込めなくなるものも存在しています。これは職業に関係ない最低限の申込条件です。
借入金額も優遇される!?
ローンの審査は、「貸すか貸さないか」だけでなく、「いくらまで貸すか」も行なっています。(こちらもご参考に→高収入ほど借入額も大きい?)ここでも「属性」が影響することは間違いありません。専業主婦よりお勤めをしている方、お勤めの中でも安定感のある勤務先の方が優遇されるのは当然でもあります。
「貸金業者」は主に消費者金融と信販会社のこと
「どこからいくらまで借りることができるのか」という事柄も、借入と無縁な方や社会人になりたての若い方にはよく解らないでしょう。借りる必要がないときは、ローンに興味を持つこともありませんよね。
「貸金業者」からの借入には法律での上限が設けられています。と言っても、「貸金業者って初耳なんだけど?」と思われるでしょう。まずは、身近にある「貸金業者」とはどんな会社かを知らなければいけません。
- 消費者金融会社
- 信販会社
- 債権回収業者
個人でお金を借りるという意味では、上の3つを知っておけば充分でしょう。他にも法人向けのローンやリースを行なっている会社が「貸金業者」に該当しますが、民間・公務員のどちらでもそれらの会社と個人で取引する機会はほとんどありません。
また、上の3つのうち、「債権回収業者」は借りるためではなく、返済が不能になってから関係を持つことになる会社です。普通にローンを返済していれば、やはり個人で取引(特に借入)をすることはほとんどありません。
「貸金業者」からの借入は年収の1/3までだが…
消費者金融・信販会社のことを「貸金業者」と言いますが、ここから借りることができるのは「年収の1/3まで」となっています。
①貸金業者から80万円借りている場合…貸金業者からは20万円まで
②銀行50万円、貸金業者30万円の場合…貸金業者からは70万円まで
③貸金業者の自動車ローン150万円がある場合…貸金業者からは100万円まで
上の例では、年収300万円の人を取り上げています。この人が「貸金業者」から借りることができるのは最大100万円(年収の1/3)です。①で解るように、この最大額は「貸金業者からの借入合計」が対象になっています。
②の場合は銀行で借入れている50万円は計算の対象外になっていることを示す例です。銀行や信用金庫は「金融機関」であって「貸金業者」ではないため、「年収の1/3」には入らないことになっています。
③は「貸金業者からの借入でも、計算の対象外になるものがある」ことを示したものです。信販会社や消費者金融の自動車ローン・おまとめローン・ビジネスローンなどは対象外になっています。
「総量規制」の対象になるのは何かを知っておく
「年収の1/3」という法律の上限を、「総量規制」と言います。そして、総量規制の対象になる借入は、「貸金業者の一部のローン」です。
- 個人向けのカードローン・フリーローン
- クレジットカードのキャッシング枠
この2つを抑えておけば大丈夫ですが、ややこしいのはクレジットカードです。「銀行が発行しているクレジットカードは対象外」、「金融機関以外(=貸金業者)が発行しているクレジットカードは対象になる」。
また、貸金業者が発行しているクレジットカードでも、「ショッピング枠は対象外」、「キャッシング枠は対象になる」ことは覚えておきましょう。
総量規制は公務員も専業主婦も関係ない「法律上の制限」ですので、これを超える融資は、どんなに属性が高く評価されていても受けることはできません。規制の範囲内で「どこまで貸すか」の判断材料にはなることは確かですが…。
公務員の皆さんは借りやすいからこそ計画的な利用を
各種ローンで公務員の皆さんが審査に優位なことは既に述べたとおりです。言い換えるなら「非常にお金を借りやすい」「審査が甘い」わけですが、だからこそ、収入に見合った計画的な借入と返済を心がけるようにしなければいけません。
借りやすければ借り過ぎにもなりやすい
積もり積もって首が回らなくなるという話は残念ながら珍しい話ではありません。借りやすいということは借入を積み上げやすいということでもあります。公務員という立場からも、自制力と計画的な借入が求められるということは忘れないようにしてください。
【参考ページはこちら】
公務員に朗報!簡単に増額できる方法とは