新しく命を授かりたいけれどうまくいかず、不妊治療を受けている夫婦は多いです。特に、ある程度年齢を重ねてから結婚をした場合、できるだけ早く子供を授かりたいと最初から不妊治療を受けるというパターンも増えているようです。
しかし不妊治療で必要になる「お金」。治療などに目を見張るほどの費用が必要なことも珍しくありません。貯金で賄えればいいですが、金額がわからないまま貯金を崩していくのも不安、という方も多いと思います。
そこで今回は、不妊治療のためのローンをご紹介。カードローンなどと比較し、どういった借り入れがベストなのか検証してみたいと思います。
大垣共立銀行の不妊治療関連ローン「Futari-de」
数は非常に少ないのですが、いくつかの銀行や消費者金融では不妊治療のためのローン商品を提供しているところがあります。
最初にご紹介するのは岐阜県の大垣市を営業エリアの中心としている地方銀行である「大垣共立銀行」の不妊治療関連ローン「Futari-de(フタリ・デ)」です。
メインは不妊治療ではありますが、こちらのローンの利用目的は
- 不妊治療の際にかかる検査費用・投薬費用・治療費用
- 生殖補助医療(人工授精・体外受精など)にかかる費用
- 妊娠・出産のために必要な諸費用(物品購入など)
以上のいずれかであればOKです。よくある銀行の目的別ローンのひとつといってもいいかもしれませんが、不妊治療やそれに伴う費用にフォーカスしているのがわかるかと思います。
利用条件はとってもゆるい…が、エリアの問題がアリ
「Futari-de」の利用条件は
- 融資を受ける時の年齢が満20歳以上満66歳未満であること
- 安定した収入があること
- 保証会社の保証が受けられること(株式会社オリエントコーポレーション)
と、一般的なカードローン並のゆるさなので、そうそう審査に落ちてしまうことはないと思います。
…のですが、大垣共立銀行は地方銀行、それゆえ営業エリアという大きな条件があるんです。
・居住している
・勤務先がこのエリア内にある
のどちらかを満たしていないと、「Futari-de」を利用することは出来ません。
さすが銀行ローン!低金利でしっかりとお金が借りられる
次に気になる金利と利用限度額をご紹介しますね。
利用限度額 | 金利 |
---|---|
30万円以上200万円以内 (1万円単位で借り入れ可能) |
4.475%(年利) |
不妊治療にかかる費用とすると最高200万円ではちょっと物足りない…と思う方もいるかもしれません。その分、金利はとても低く4.5%を切るくらいに収まっています。多くの目的ローンよりも低いといえる金利設定になっているのではないでしょうか。
返済期間は最長5年。返済は自動引き落としで
金利が低くても返済期間が短いと結局負担としてはなかなかのものになってしまいますが、「Futari-de」なら大丈夫。返済期間は1年から最長5年で、6ヶ月単位で設定することが可能です。
返済は元金と利息を足して返済月数で割った金額を返済する、「毎月元利均等返済」を採用しています。返済用の大垣共立銀行の預金口座から自動で引き落としされます。
審査に落ちても大丈夫!?リトライがある親切設計
この商品の特徴のひとつとして、大垣共立銀行の「リトライサービス」の対象になっていることです。
金利は5.5%~10.5%と「Futari-de」に比べると高いですが、利用限度額は1万円~500万円までと最大300万円プラスと大幅アップ。審査結果によって金利が変わりますので、結果によってはこちらの方がオトクになる可能性があるかもしれませんね。
首都圏の方なら東京スター銀行の「スターワンバンクローン」も
次にご紹介するのも、地方銀行(第二地方銀行)の商品ではあるのですが、首都圏に住んでいる方であれば利用が可能なので、大垣共立銀行に比べると対象となる方は多いのではないでしょうか。
東京スター銀行の不妊治療をサポートするローン、「スターワンバンクローン(不妊治療サポートタイプ)」をご紹介します。
カードローンのように使える。借りたい分だけ借りられて便利!
「スターワンバンクローン」の利用目的は大垣共立銀行の「Futari-de」とほぼ同じで
- 不妊治療にかかる検査費・投薬費・治療費、それにかかる交通費や宿泊費
- 生殖補助医療にかかる費用
- 代替医療などの費用
- その他、自由
となります。「Futari-de」と違うのはがっちりとした目的別ローンとは違い、不妊治療に関わる費用だけでなく、その他の費用としてもお金を借りることができること。生活費として使ってもいいですし、旅行代や買い物に必要なお金として借りるのもOKなんです。
とはいえ、
- 東京スター銀行の他無担保ローン商品の借り換え
- 事業資金
として利用することは出来ませんので注意してくださいね。
利用条件はちょっと細かい!年収などの制限もアリ
大垣共立銀行や一般的なカードローン・多目的ローンと比べると少々条件が細かい印象なのが、こちらの商品です。
- 申込時の年齢が満20歳以上65歳未満
- 自身、あるいは同居している配偶者が不妊治療を受けている
- 正社員の給与所得者である
- 年収が300万円以上
- 保証会社(株式会社TSBキャピタル)の保証を受けることができる
- 申込時に不妊治療に関連する受診を確認できる書面(診断書など)のコピーの提出ができる
と、目的が決まっている(自由にも使えますが)ローンとはいえ、なかなかの条件…といった感じですよね。
とはいえ不妊治療用のローンですから不妊治療を受けていることは当たり前ですし、診断書のコピーを出す必要があるのもうなずけます。収入の面については人それぞれですが、多くの方はこちらの条件を満たすことができるのではないでしょうか。
カードローンのように使える分、金利は高め?限度額もコンパクト
ちょっと細かい条件なのだから、さぞかし金利も低く限度額も多いのでは…と考えた方もいるのではないでしょうか(笑)。「スターワンバンクローン」の金利及び利用限度額は以下の表のようになります。
利用限度額 | 金利 |
---|---|
一律100万円 | 7.8%(年利) |
金利も利用限度額も一律!という非常にわかりやすいスペックです。金利は7.8%と目的別ローンで考えると平均~少々高めといったところでしょうか。
ただ、自由な使いみちで利用できる一般的なカードローンとして考えると結構な低金利商品といってもよくなります。このへんはお金の使いみちの考え方によって割れるところかもしれません。
利用限度額も100万円と「Futari-de」の半分。少々継続的な治療を続けるとしたら心もとない金額といった印象ですね。このローンひとつですべてを賄おうと思ったらちょっと大変な気がします。自己資産がある程度あり、念のためとして契約するのにいい…といった位置づけになるでしょうか。
ネットバンキングを通して好きに借りられるのは便利。返済も自動
一般的な目的ローンとは違い、カードローンに近い作りなので最初にお金を借りてあとは返済する、というだけではなく、自分の都合に合わせて借りたいタイミングでお金を借りることができるのはムダな利息を支払う必要がなく、かなりのメリットといえるかもしれません。
カードは発行されないので、東京スター銀行のネットバンキングを通じて借り入れをします。そのため、東京スター銀行の口座がないと利用できないので注意してください。
返済は毎月10日に引き落としで行われます。前回返済日から今回返済日の前日(9日)までの借り入れた金額に、1ヶ月分の利息を合わせた金額から返済額を算出する「元金同額返済方式」を採用しています。また、ネットバンキングからの繰り上げ返済にも対応しています。
消費者金融だけど不妊治療ローンが!?「アスマイル」のローン
消費者金融というと、単純にカードローン(フリーローン)の商品を提供している…というイメージが強い方が多いのではないでしょうか。
アイフルなど大手はビジネスローンなど様々な目的ローンを出しているところもありますが、基本はシンプル。せいぜい個人向けと事業者向け、おまとめローンがあるくらいでしょうか。
しかし、神奈川県の消費者金融「アスマイル」は、消費者金融でありながら不妊治療専用のローン商品、その名も「不妊治療サポートローン」を提供しているんです。
条件も納得の範囲。消費者金融ならではの手軽さを感じる
条件はこれまでに紹介した2つの不妊治療をサポートするローンをミックスしたようなものになっています。
- 年齢が満20歳以上65歳未満の不妊治療をしている夫婦のどちらか
- 安定した収入がある
- 不妊治療に関する診断書のコピーを提出が可能
と、不妊治療を行っていることが証明できればあとの条件は特に厳しくなく、東京スター銀行のスターワンバンクローンと比較しても非常に条件はマイルドになっているかと思います。
とはいえ、使いみちは大垣共立銀行の「Futari-de」と同様、
- 不妊治療の際にかかる検査費用・投薬費用・治療費用及び代替医療にかかる費用
- 生殖補助医療(人工授精・体外受精など)にかかる費用
- 不妊治療に必要な諸費用(宿泊費・交通費・物品購入など)
と使いみちは不妊治療に限定されます。「Futari-de」は出産に関わる費用も利用OKでしたが、こちらは不妊治療のみと一番使いみちの中では限定的な商品といえるかもしれません。
また、「アスマイル」は消費者金融なため他2つの地方銀行と違い、基本的に借り手の居住地や勤務先に制限はありません。なので、「不妊治療ローン」という名前のものを利用したい場合、2つの銀行の営業エリアから外れるならこれしか選択肢はありません…。
ただあまりに離れていると利用できるかはわからないので、申し込み前に一度問い合わせてみることをおすすめします。
融資金額は200万円まで。金利は利用限度額によって変動
「不妊治療サポートローン」の融資金額は5万円~200万円の範囲内となり、「Futari-de」と同じです。しかし金利は融資可能金額によって変動するタイプになっており、以下のように13.9%から 6.9%まで変わっていきます。
融資金額 | 金利 |
---|---|
5万円~30万円 | 13.9% |
30万円超~50万円 | 11.9% |
50万円超~100万円 | 9.9% |
100万円超~150万円 | 8.1% |
150万円超~200万円 | 6.9% |
消費者金融ゆえか、どうしても金利は高めになってしまう印象です。これまで紹介した2社と比べても一番金利が高い設定です。とはいえ消費者金融というくくりで見ると、大手でも18.0%前後が普通なので、低金利といえる設定にはなっています。
返済方法はちょっと特殊。自分の都合で返済できる点は嬉しい!
返済方法は一般的な消費者金融や銀行のローン・カードローンで採用されるもの中では珍しい「自由返済方式」を採用しています。
ボーナスが入る月は多めに返済し、出費が多い月は少なめの返済…というように自分たちの経済状況に合わせて返済することができるので、金銭的な負担を軽減することが可能です。ただし、返済期間が長くなる分支払う利息額は増えますのでその点は計画的に。
不妊治療用ローンとカードローン、どっちがお得?比較してみた
不妊治療の費用をサポートしてくれるローンを3つご紹介しましたが、これらのローンじゃないと不妊治療が出来ない、というわけではありません。不妊治療と銘打っていなくても、カードローンであれば資金の使いみちは自由なので不妊治療の費用に充てることも可能です。
それでは、これらの不妊治療用のローンとカードローンは一体どっちがお得なのか、ちょっと気になりますよね。そこで!実際に金利などを比較してみました。
比較する対象として
- 大手消費者金融
- 大手銀行カードローン
といった、全国区のカードローンをピックアップ。地方銀行や信用金庫のカードローンはどうしてもエリアに制限があることと、細分化されすぎているので今回は割愛します。
100万円・200万円の金利で比較。やはり専門ローンは強い!?
まずは金利を比較してみましょう。3つの不妊治療の専門ローンの利用限度額は「100万円」または「200万円」が限度なので、この2つ限度額での金利を調べて表にしてみました。
商品名 | 100万円の金利 | 200万円の金利 |
---|---|---|
Futari-de | 4.475% | 4.475% |
スターワンバンクローン | 7.8% | 非対応 |
不妊治療サポートローン (アスマイル) |
9.9% | 6.9% |
プロミス | 4.5%~17.8% | 4.5%~17.8% |
アイフル | 4.5%~18.0% | 4.5%~18.0% |
アコム | 4.7%~18.0% | 4.7%~18.0% |
みずほ銀行カードローン | 12.0% | 9.0% |
バンクイック (三菱東京UFJ銀行) |
12.6%~14.6% | 9.6%~12.6% |
三井住友銀行カードローン | 12.0%~14.5% | 10.0%~12.0% |
やはり目的ローンだけあって、金利は圧倒的にカードローンに比べて低いと言えるでしょう。
プロミスやアイフル、アコムの3つの消費者金融は利用限度額による明確な金利の設定が記載されていないため、最低金利も記載していますが正直いって最低金利で借りられることはありません。100万円であっても15%~16%程度、200万円でも12%~15%程度の金利になるのではないでしょうか。
不妊治療ローンのカードローンにないデメリットとは?
金利の面では正直いってかなわない、といってもいいでしょう。しかし不妊治療サポートローン3つもそれぞれデメリットといいますか、弱点のようなものはあります。
まずはエリアの問題です。先ほどから何度も出てきているので既におわかりかと思いますが、地方銀行の商品は、その銀行の営業エリア内に居住している、あるいは勤務していないと利用対象となることは出来ません。大垣共立銀行であれば岐阜県・愛知県の一部ですし、東京スター銀行であれば首都圏と限定されています。
対して消費者金融や都市銀行であれば基本的に営業エリアは関係なく、どこに住んでいても利用することが出来ます。アスマイルは消費者金融ですが、規模が決して大きいわけではないので営業エリアを設けている場合もありますから、居住地に関係なく利用できるカードローンはやはり便利ですよね。
次に利便性の問題です。「Futari-de」と「不妊治療サポートローン」はいわゆる「フリーローン」タイプの商品。つまり、最初にお金をまとめて借り、あとは返済するだけのタイプです。
そして最後に、利用限度額の問題。不妊治療に充てたいと思う金額よりも、ちょっと多くお金を念の為に借りておきたいと考える方も多いと思います。しかし、100万円~200万円という利用限度額は、治療によっては足りないこともあるでしょう。
すべて借りたお金で賄う、というのは少々危険なのであまりおすすめはしませんが、できるだけ貯金を温存しつつお金を借りてやりくりしたい、と考えた場合200万円では少々心もとないと感じるかもしれません。
その点、カードローンは利用限度額が高く、500万円~800万円、みずほ銀行のカードローンに至っては1000万円まで借りることが出来ます。さすがにここまでの金額を借りる方はいないと思いますが、ある程度の金額まで借りることができるという事実は安心感があります。
金利に目をつぶって利便性を取るか、金利で安心感を取るか
不妊治療ローンとカードローンをそれぞれ比較し、メリットとデメリットをまとめました。
種類 | メリット | デメリット |
---|---|---|
不妊治療ローン3社 | ・目的ローンなので金利が低い ・商品によってはキャッシュバックも |
・エリア制限がある ・借りたら返済しか出来ない (スターワンバンクローンは除く) ・利用限度額が低め ・使いみちに制限がある (スターワンバンクローンは除く) |
カードローン | ・利用限度額の幅がある ・借り入れが自由にできる ・エリア制限がない ・使いみちが自由 |
・金利が高め |
こうみると、希望の限度額が範囲内に収まり、かつエリア問題をクリアできるのであれば不妊治療用のローンを利用する方がお得ですが、より広い範囲でお金を使いたい(借りたい)場合は金利に目をつぶってカードローンを利用する方がよさそうですね。
ただ、特別追加で借りる必要はなく最初にまとまってお金を借りられればいいという場合は銀行のフリーローンの利用を検討してみるのもいいでしょう。5%台で借りられる可能性が十分にあります。
資金問題は非常にシビア。自分が納得できる形で
不妊治療は精神的にも肉体的にも負担がかかるものです。それに加えて金銭的な問題がのしかかってきたらストレスもたまってしまうというもの…。とはいえ、酷かもしれませんがお金に関する判断はシビアに行くほうがいいでしょう。
不妊治療はどこまでするか、どこでやめるかといったボーダーが非常につけにくいので、どれだけの費用がかかるか読めない部分が多いです。そのため、最初は100万円くらいでいいと思っていてもすしばらくしたら「もうちょっと借りておけばよかった」と思うことがあるかもしれません。
個人的には、可能であればフリーローンや不妊治療用のローンのような低金利でまとまったお金を借りられるものを選択し、もし足りなくなってしまったらカードローンなど自分のタイミングでお金を借りられるようなタイプの借り入れを追加する、という形が一番ムダがないのでは?と思います。
こういった資金問題は非常にシビアなので、自分がどのような借り入れなら負担になりにくいのか、しっかりとパートナーと話し合って納得しあってから行動することをおすすめします。新しい命のためにも、不安と負担はできるだけ少なくしておきたいですね。
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