消費者金融からお金を借りる時に見る商品説明には、限度額の表記があります。当たり前のことでしょうが、借り入れできるお金の上限になる金額です。
限度額は審査によって決まるのですが、ただ審査以外の要因もあることはご存じでしょうか。
審査項目の一つとして捉えることもできるのですが、厳密に言うと法律が大きく関係しています。「貸金業法」の「総量規制」がこれに当たり、限度額の決定に影響を与えます。
この「総量規制」ですが、どのような法律なのでしょうか。また、限度額の決定にどのように関係しているのか。知っておくと困らない、借り入れに関する大切な情報をお伝えします。
いくらになるか心配!借入限度額はどうやって決まるの?
消費者金融で借り入れの申し込みをする場合、大抵の人はそこのカードローンなどの商品の説明を見たり読んだりして申し込みをすると思います。
この中には融資限度額が載っており、300万円や500万円など、かなりの金額が限度額として表記されているはずです。
しかし、ここにある限度額ですが、必ず記載されている額まで借り入れできるとは限りません。チラシなどにある限度額=自分の限度額、になることはないのです。
例えば初めての申し込みの場合、大よその相場があります。大抵は、30万~50万と言われています。しかし、誰もが必ず30万円~50万円とは限りません。実際には、自分はもっと大きい額が必要、などの希望もあるでしょう。
基本的には審査と法律によって限度額が決まる!
チラシやCMなどで表記されている限度額がそのまま自分にもあてはまらないことは、なんとなくでもわかったと思います。(こちらもご参考に→キャッシングの限度額はどうなってる?)
では実際に何を基準にして限度額が決まるかと言えば、実は法律と、消費者金融の審査で限度額が決まります。法律とは、貸金業法の、特に「総量規制」が限度額の決定に大きな影響を与えます。
消費者金融の審査に通ったとしても、総量規制によって借入額がある程度制限されるのです。別の言い方をすれば、総量規制によっていくらまで借り入れできるのか、その人としての限度額が分かると、審査に通ったとしてもその限度額までしか借り入れができません。
もちろん、審査の項目には下記に記すような様々な内容が反映されます。
- 年収
- 職業や職種
- 扶養家族人数や持ち家かどうかなどの家庭状況
- 他社借入状況
- 過去の借金履歴(延滞等の金融事故情報含) などなど
このような個人の属性や信用情報を含め、審査されます。要は、その人が借り入れをして返済できるのかどうかを判断されるのです。
ですので、審査に通る通らないも含めて、総量規制だけで限度額が決まるわけはなく、審査と総量規制を合わせ考えて、限度額が決まります。
(⇒キャッシングの審査基準について)
「限度額」と「極度額」の違いは何?
ちなみに、融資額の表記でわかるように「限度額」があるのですが、それとは別に「極度額」と表している場合があります。この2つですが、同じものと勘違いしてしまいがちですが、厳密に言うと少し違います。
極度額 契約上借りられる上限額
カードローンなどを利用している内によく「増額」をすることがあるのですが、増額するたびに契約をしなおしていると、融資している業者も借り入れしている個人も、お互いにとても面倒です。
その手間を省けるように、最初は極度額いっぱいに借り入れできないよう限度額を設定し、返済が滞りなく進む様であれば、極度額内で限度額を上げる、ということもできます。
要は、極度額の内で限度額が設定されていることになります。ちなみに返済が思わしくない場合は、限度額が減額されることもあります。
よく耳にする「総量規制」とはどんなもの?
先ほどから融資額の決定に関係する法律として「総量規制」があると言っていますが、その「総量規制」とは、そもそも何なのでしょうか。
消費者金融が個人を相手に融資を行う際に関係してくる法律として、「貸金業法」があります。
貸金業法とは、貸金業を営む業者に対して登録制度や規制を行うことで、事業の適正な運営や消費者の保護を図るための法律です。
また、貸金業協会の設立も定められており、多くの業者はこの貸金業協会にも登録しています。
その貸金業法の中に「総量規制」が盛り込まれ、消費者へ過剰貸し付けを行わない様に定められています。
総量規制の内容
- 自社からの借入残高が50万円以上となる場合、または、他社を含めて総借入の残高が100万円を超える場合は、年収等の証明書類を取得する義務がある。
- 総借入残高が年収3分の1を超えるなど、返済能力を超える場合は、貸し付けを禁止する。(売却する資産があるなど、除外、例外あり)
もちろん、総量規制で全ての多重債務を抑制できている訳ではありませんが、過重貸付の抑制になっています。
よく、消費者金融では年収の3分の1以上借りられないというのは、この総量規制が関係しています。
信用情報機関で他業者の貸し付けがわかってしまう!
消費者金融に借り入れの申し込みをする際に、総量規制を心配して他社の借入額で嘘の申告をする人がいます。しかし、嘘はすぐにばれます。
指定信用情報機関で、他社の借入の詳細がわかってしまうからです。これもまた貸金業法により設置された機関になります。
指定信用情報機関
- (株)日本信用情報機構(JICC)
- (株)シー・アイ・シー(CIC)
※全国銀行個人信用情報センターも情報交流を行っている
これらの信用情報機関のどれか、またはいくつかに個人の申込から融資額までの情報が記録されており、融資の申し込みがあった場合など、必要に応じて消費者金融(や銀行)は情報を照会することができます。
嘘の申告をしてもばれるというのは、情報が照会でき申告内容と確認することでわかってしまうからなのです。
最初の申し込み時以外にも注意が必要?
上記では極度額内で限度額を上げることができると言いましたが、その増額に関しても注意しなくてはいけない点や総量規制が関係する点があります。
カードローンなどを多く利用し業者に優良顧客と判断されると、よく限度額増額の案内が入ることがあります。また、自身の方で融資額を増やして欲しいと増額の申請を行うこともあります。
もちろん、延滞なく返済を行っていれば、限度額増額の可能性はあるでしょう。しかし、これも年収の3分の1以上になることはありません。この点は忘れないようにしましょう。
他社借り入れも含めて3分の1以上借りられない!
1ヶ所で増額という形が取れない場合にもっとお金の借り入れをしたいと考えた時、他社で新たに借り入れを検討する人もいます。
しかし、これもまた総量規制の対象になります。
しかも注意しなくてはいけないのは、1社につき年収の3分の1、ではなく複数社含め、全体で年収の3分の1になるのを忘れてはいけません。
ついついお金の用立てばかりを考えて、総量規制のことを忘れて申し込みをしてしまいがちです。しかし、この点を忘れずに申し込みをする必要があります。
「総量規制」には例外や除外の場合もある!?
世の中にはいろいろなライフスタイルもありますし、普段生活していれば、急病で入院などの想定外の状況に陥る場合があります。そのどれに対しても「総量規制」が関わってくると、場合によっては生活が破綻してしまう事態に陥ってしまいますし、病気などは間に合わなくなってしまうことだってあります。
こんな状況を踏まえて、「総量規制」にも例外や除外として扱われる貸し付け事例があります。
総量規制除外
- 不動産の購入、不動産改良時(その為のつなぎ融資含)
- 自動車担保による自動車購入
- 高額医療費支払
- 有価証券担保の場合
- 不動産担保の場合
- 売却予定不動産の売却代金により返済出来る場合
- 手形(融通手形除)の割引
- 金融商品取引業者が行う、500万円超の場合
- 貸金業者を債権者とする金銭貸借契約の媒介
よく言う住宅ローンや自動車ローンがこれにあたります。また、担保貸付も様々な担保がありますが、総量規制の除外になります。
当然、総量規制の対象外になるので、ここに記載されている貸し付けの残高も総量規制の対象とした金額内には含まれません。
総量規制例外
- 顧客に一方的に有利となる借り換え
- 緊急の医療費
- 社会通念上、緊急に必要と認められる費用を支払うため
- 配偶者とあわせて年収3/1以下の場合
- 個人事業者に対して
- 預金取り扱い金融機関からの貸付を受けるまでの、つなぎ資金になる場合
例外の場合は、除外と少し意味合いが変わります。あくまで「例外」になります。ここにある内容に関しては総量規制で言う年収の1/3以上の額になっても貸し付けをしてもらえます。
しかし、残高がある場合、新たに貸し付けを別に申し込んでもお金を借りることはできません。逆に、総量規制いっぱいお金を借りていて、新たに医療費でお金が必要になった場合、例外規定として貸し付けができるということです。(もちろん、返済能力があるかなどの審査はありますが。)
クレジットカードでもキャッシングを使えば「総量規制」の対象!
いろいろなパターンがあるので、その全てに対してひとつひとつ細かく考えるのも難しいですが、よくあるパターンとして、クレジットカードのキャッシング枠の扱いも気になる一つになると思います。
結論から言えば、クレジットカードのキャッシング枠に関しては、総量規制の対象となります。
ですので、新たに他からカードローン等を考えている時は限度額がその分、低くなってしまうので注意しましょう。
ちなみに、クレジットカードによるショッピングに関しては対象外になるので、基本的に買い物は(ショッピング枠の限度額内ならば)続けることができます。(法律的には、「割賦販売法」になります。)
銀行は除外でも例外でもなく対象外になる!
クレジットカードのショッピングは、総量規制の対象外になる、と言いましたが、銀行も対象外になります。対象外は、除外とも例外とも違います。最初から別になります。
銀行の場合は、貸金業者とは根本的に違い、該当する法律も銀行法になります。
ですので、ある程度の大きな金額が必要な場合や、すでに借り入れしており、これ以上の借り入れは総量規制に引っ掛かるという時は、銀行から借り入れするのを検討するという方法もあります。
ただし、あくまで方法としての一案です。銀行は、審査が消費者金融よりもずっと厳しいため、総量規制とは別の問題として、審査に通るか通らないかという点で融資の可能性は難しくなります。この点は、忘れない様に気を付けた方がいいでしょう。
借り入れの可否や限度額は、最終的に総量規制だけで決まらない!
ここに記載したのは、あくまで総量規制という法律について限度額に関わる説明のみです。
あくまで、本人の職業や家族構成などを含む属性や、きちんと期日に返済できるかどうかの信用情報も、審査通過の大きな判断材料になります。
例えば年収が高くても、毎回返済が遅れるような過去履歴が残っているような人は(本人の性格までは記録される訳ではないですが、延滞が多いとお金にルーズなのはわかります。)、審査に通過できない可能性があります。
どの消費者金融や銀行からお金を借りるのかは、法律的な点だけでなく、自身の信用情報や返済能力も大きく関係していることは忘れてはいけないでしょう。
逆に顧客側から見れば、審査の通過のしやすさや限度額だけでなく、融資までの対応の早さや金利の違いも、申し込み先を決める検討材料にもなります。
ただし、知識として総量規制を知っているのと知らないのとでは、大きく違ってきます。ぜひ、参考にしてください。
【参考ページはこちら】
融資限度額の隠れた制限とは