キャッシング業界で当たり前のように使われるようになった「総量規制」という言葉。今でこそこの言葉だけでその意味が通じるようになりましたが、「総量規制」という言葉自体はまだ使われ始めてから5年ほどしか経っていないんです。
当時からカードローンに詳しければ総量規制の意味もお分かりでしょう。しかし、その間まったくキャッシングに興味が無かった方やまだ子供だった方にとっては、いきなり「総量規制」と言われても、その意味が分からないのではないでしょうか。
そこで、改めてキャッシング業界における「総量規制」とはどういう意味で、私たちにどういった影響を与えているのかをご紹介しようというのが、今回の記事の目的です。
そもそも「キャッシング業界」とはどこのことを言うの?
「総量規制」について理解をするためには、まずキャッシング業界とはどこのことを指すのか、そして、それらがどのようにして融資を行っているのかを知る必要があります。いわば、「キャッシングの基礎」を知らなければいけないわけです。
銀行・消費者金融…キャッシングできるのはどんな会社から?
では、早速キャッシングを商売にしている会社(業界)をピックアップしてみましょう。下の枠をご覧ください。
- 銀行
- 信用金庫や労働金庫
- 農協や漁協などの協同組合
- 消費者金融
- 信販会社
- リース会社の一部
- 小売店の一部
- その他
多くの方は銀行や信用金庫、そして信販会社や消費者金融から融資を受けることになるでしょう。これらが代表的な「キャッシングを取り扱っている業界」です。
クレジットカードもキャッシング業界の一部
また、クレジットカードのキャッシング枠も「キャッシング業界」の一部に該当します。ご存知の方も多いと思いますが、クレジットカードにはお買い物の際に利用する「ショッピング枠」と現金をキャッシングできる「キャッシング枠」があります。
このうち、現金を借り入れる「キャッシング枠」はキャッシング業界が守らなければいけない「総量規制」の対象になることが多いと覚えておきましょう。詳しくは後でお話をしますが、クレジットカードの「ショッピング枠は総量規制に関係はないが、キャッシング枠は場合によっては関係がある」ということをまずは覚えてください。
キャッシングを商売にするには、それぞれの法律を守る必要がある
どんな会社がキャッシングを商売にしているか、また、クレジットカードがキャッシング業界の一部になることをお話しました。では、どうしてキャッシングを商売できるのかについても簡単な説明をしておきましょう。
銀行法・貸金業法…融資ができるのは法的許可をもらっているから
ズバリ答えを書いてしまうと、「私たちに融資ができるのは、法的な手続きを踏んで許可をもらっているから」なんです。
ただし、どこも同じというわけではありません。業種によって手続きの元になる法律が異なっているんです。
では、その法律別に業界を選り分けて見ましょう。下の表は、キャッシング業界とその元になる法律を書いたものです。
業種 | 元になる法律 |
---|---|
銀行 | 銀行法 |
信用金庫 | 信用金庫法 |
労働金庫 | 労働金庫法 |
信販会社 消費者金融 その他 |
貸金業法 |
それぞれに法律にのっとって営業をしなければいけないことはこの表でお分かりいただけたでしょうか。そして、これが「総量規制」を理解するために重要なことでもあるんです。
「総量規制」は貸金業法で営業している業者限定の制限
さて、いよいよ本題に入ります。「総量規制」というのは「貸金業法」によって設けられている融資額の制限です。つまり、「貸金業法で守らなければいけない制限」なわけです。
貸金業法の規制を守らなければいけないのは「貸金業者」のみ
貸金業法の決まりを守らなければいけないのは、「貸金業法」によって営業をしているところに限定されます。
一方、「貸金業法」によって融資事業ができる信販会社や消費者金融、小売店などはすべて、「総量規制の対象となる業者」となるわけです。
クレジットカードは発行会社によって対象になるかが決まる
さて、先ほどクレジットカードの話もしましたが、クレジットカードのキャッシング枠は発行会社によって総量規制の対象になるならないが分かれる点に注意が必要です。
発行会社が銀行本体である場合、貸金業法の影響は受けないので総量規制の対象外となりますが、銀行の子会社が発行しているクレジットカードは総量規制の対象となります。
「総量規制」は年収の3分の1しか借入できない制限のこと
対象となる業者の話はこれくらいにして、次は「総量規制」の内容に踏み込んでいきます。
「総量規制」とは、申込者本人の年収に対して3分の1までしか融資をしてはいけないという貸す側への制限をしている法律上の決まりです。借りる側ではなく、「貸してはいけない」という制限であることに注目ですね。
制限は1社当たりではなく、業界全体にかけられている
そして、この「年収の3分の1まで」という制限は1社あたりの金額ではなく、貸金業者からの借入合計が対象となっていることにも注意が必要です。
さらに、この制限は「実際に借りている金額」ではなく、限度額も含めた「契約上の金額」で判断します。上の囲みの例ならば、消費者金融で30万円のカードローン契約を結んでいれば、1円も借りていなくても総量規制の残りは70万円ということになるわけですね。
「貸金業者」からの借入でも総量規制の対象外になるものがある
さて、「総量規制」とは貸金業者に課せられた個人への融資の制限であることがお分かりいただけたと思いますが、例外もご紹介しなければいけません。
「例外」と言うのは、消費者金融や信販会社からの借入であっても、総量規制の対象外となるローンがあるということです。
住宅ローンヤマイカーローンは総量規制の対象外
信販会社などが提供している住宅や自動車にかかるローン、住宅ローンやリフォームローン、マイカーローンといったものは総量規制の対象外となります。
(⇒自動車ローンについてもっと詳しく!)
これを総量規制の対象にしてしまうと、数百万円する新車も購入できなくなってしまいますし、また、住宅のリフォームなどで多額の融資を必要とする場合も頭を抱えてしまいますよね。住宅と自動車に関する目的ローンは対象外だということは覚えておきましょう。
返済で有利になる「おまとめ」や「借り換え」も対象外
また、借入が今よりも有利になる(楽になる、とも言いますが)借り換えや一本化のローンも対象外となっています。
よく「おまとめローン」とも「借り換えローン」とも言われている返済を有利にするための目的ローンですが、これらも借りる側にとって有益となるローンであるものは総量規制の影響を受けないわけです。(こちらもご参考に→おまとめローンのおすすめ情報)
「総量規制」の対象になるローンとは~まとめ~
余程のことがない限り、総量規制に引っかかるほどの借入はないと思いますが、こういう規制があるということはキャッシングの知識として覚えておくと良いでしょう。
【参考ページはこちら】
年収の3分の1以上借入する方法は?